小学校の副読本
小学校の副読本にも採用されているポプラ社の「わたしたちの住まいと輸出入」という図書で当社の事業が紹介されている3ページ「廃棄物を資源にかえる新しい産業 ー輸出される発泡スチロールやプラスチックの再資源」を当社で再編集したものをご紹介いたします。
石油から作られるプラスチック製品
トミーのプラレールは、プラスチックという原料からつくられている。
このようなプラスチックの原料を販売していた株式会社パナ・ケミカルは、1973年のオイルショックのとき、石油が日本に入りづらくなったため、石油からつくるプラスチックなどが品薄となり、販売するものがなくなってきた。
オイルショックとは、中東の産油国がより多くの収入を得ようと、石油の売り値を引き上げた結果、世界の経済が打撃をうけた事件をさしている。
わたしたちの身の回りには、石油を原料とした工業製品があふれている。ペットボトルもビニールも発泡スチロールも石油からつくられているのだ。
東京築地中央市場。せりの終わった後に発泡スチロールが山のように積まれている
発泡スチロールリサイクルのはじまり
このようにわたしたちのくらしは石油と切り離せないが、その石油が値上がりすれば、関連するすべての製品が値上がりしてしまう。
値上がりだけならまだしも、石油が輸入できなければ、車も動けないから、日本のくらしはまったくなりたたなくなってしまう。そう思った消費者が驚いて、生活必需品などを買い置きしようとスーパーなどに殺到したこともあった。
プラスチックの材料が入手しづらくなったとき、築地中央市場のそばをたまたまパナ・ケミカルの社長が通りかかったら、魚を入れてはこぶ発泡スチロールの箱を燃やしていた。
黒い煙がもくもくと上がっているのを見て、「発泡スチロールも石油からできているのに、使い終わったからといって燃やしてしまうのはもったいないな」と考えた。
たくさんの人が毎日リサイクルの機械を使って、使用済み発泡スチロールをリサイクルしている
それから注意して観察すると、電化製品やパソコンなどをはこぶとき、箱の中の機器が動かないように発泡スチロールをつめているのに気がついた。
スーパーに行けば食品をのせているトレイや、その食品を保護しているラップなども石油製品なのに、使い終わったら全部捨ててしまう。
なんとか捨てないで、再利用する方法はないだろうか、そういう思いで工場と研究し、ついに発泡スチロールリサイクル処理機を開発した。
その後ペットボトルやプラスチック製品を細かく粉砕し再びプラスチック原料にする機械も販売した。
初期型の発泡スチロール処理機と板状に加工された発泡スチロールブロック
世界を循環するプラスチック再生資源
日本からはこばれた再資源材料は、以前は、中国の工場でビデオカセットのケースや文房具につくりかえられていた。今はテレビの外枠やスピーカー、額縁にもつくりかえられている。
つくりかえられたものは、「Made in China」(中国製)の製品として日本へ輸入品として入ってくる。同じ「Made in China」(中国製)の製品でも、まったく新しい原材料からつくって、日本へはこぶものもあれば、このように原材料のリサイクルで、再生された製品としてはこばれるものもあるのだ。
中国や東南アジアに運ばれた発泡スチロールは、工場で再度再生資源としてリサイクルされる
ただ、このような過程が製品に明記されているわけではないので、わたしたちは、これらの製品がどのようにリサイクルされたか知らずに利用しているだけなのだ。
購入をしたが、不必要になったものは、また再資源材料となり、集められて日本の港から船で中国へはこばれる。そしてまた、製品として日本へはこばれてくるのだ。
このような資源の動きを循環型システムといっている。わたしたちは、限りある資源を有効に使うことで、リサイクルという新たな産業を生み出した。
そして、このリサイクル産業は、コストの面からいっても世界との関わりなしには成立しないのだ。
現在では様々なプラスチック製品が発泡スチロールを原料として作られ、リサイクルの技術も日々進歩している
参考図書のご紹介
これらの資料はポプラ社の「国際理解に役立つわたしたちのくらしと世界の産業シリーズ3」の『わたしたちの住まいと輸出入』 監修/清成忠男、志太勤一 著/飯島博当社も掲載されているこの図書のP.44~P.46を元に、最新版の画像と文章の校正を加えたものです。現在も購入できます。
▲リサイクルだけではなく輸入と輸出の関係などが分かりやすく解説してある図書です。
▲同じポプラ社からの「ごみとリサイクル」という図書にも発泡スチロールが紹介されています。
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